パワプロSSサイト。ビンの中の帆船。美しきつくりもの。
A&T vol.2
・場所はふたたび九十九宇宙の店。『居酒屋99』。
・九十九は自分の店のアピールのため、ネットでブログ更新中。
・阿畑は駄菓子を近くの店で買ってきて食べている。


阿畑「ブログで人気出そうなんて、ハッ、浅はかな」
九十九「時代はブロードバンドやで阿畑」
「なにを得意げに。ブロードバンドってそもそもなんやねん」
「電波や電気信号、光信号などの周波数の帯域幅が広いこと。また、それを利用した高速・大容量な通信回線や通信環境。対義語は「ナローバンド」(narrowband)。」
「お、お前どこのIT業界人?」
「いや、検索したら『IT用語辞典』にそう載ってた」
「オー、ブロードバンド!」
「ポカホンタスみたいに言うな ぜんぜんおもんないぞ」

しばらく更新に集中する九十九。「キャベツ太郎」をしゃむしゃむと食べる阿畑。

九十九「キャベツ太郎はええけど、そこらへんの机の裏で手ぇふくなよー」
阿畑「(ビクッ)そんなことあるますさかいな、冗談やあらしまへんで九十九はん」
「なんで京都弁やねん、宇野千代か」
「そのツッコミはよーわからん」
「俺もわからん」
「気持ちな」
「気持ちや」
「ひっひっひ」
「はっはっは。……よっしゃ、更新終わりッ!」
「見せてみぃ。店員紹介って、あのムキムキ中国人とヒラメちゃんしかおらんのに、よー載したな。まったく楽しそうに見えへんぞ」
「呉(クレ)ちゃんもヒラメもしっかり働いてくれるし、ええ子やで」
「まあ、たしかにええ子よなー2人とも」
「せやろ」

マウスを動かして検索サイトに戻る阿畑。インターネットのニュースをながめる。

「なあ」
「なんや、あ、お前ヒラメに『ヒラメちゃん』のこと教えんなよ。
有名なマンガの美少女ヒロインって教えてんねから」
「俺が二股したらどないする」
「ああ、That'sどうでもいい男のニュースか?」
「なんか悪意ある写真よな」
「マスコミなんて悪意しかあらへん」
「なにその極論?」
「批判する奴は常にカッコよく見えよる」
「んー、なんか、幼いころの辛い体験みたいなん出されたら、ちょっと可哀想なるよな」
「会ったことないからわからん」
「そらそうや」

九十九。調理場に入る。流しの下から何かを取り出す。長方形の滑らかな石に水をつける。

「で」
「なに」
「お前いま二股したら、とか言うたよな」
「おう」
「答えはなんやと思う」
「わ、わかったから……おもむろに包丁を研ぐな」
「はっはっは」
「わっはっは」

| easy going | 00:30 | comments(0) | trackbacks(2) |
湊かなえ『告白』
評価:
湊 かなえ
¥ 1,470
(2008-08-05)

JUGEMテーマ:読書

なぜか実家のぼくの部屋の本棚にあったので、読んでみた。兄貴は読書に興味がないから、きっと母上なのだろう。ぼくの部屋の本棚に置いておきながら、教育に悪いとでも思ったのか、後ろの列に置かれていたのが面白かった。

2009年本屋大賞受賞作品で、松たか子主演で映画になり、日本アカデミー賞も獲得した話題作。
「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」
7月後半、中学校の終業式。辞職する教師・森口がホームルームで語りだした衝撃の告白。この中学校教師の第一章「聖職者」からはじまり、語り手を代えながら続く連作短編集。

作者によると、もとは第一章「聖職者」の続編を書くつもりもなかったらしい。にもかかわらず、第六章まで続くこの小説は、破綻もなく、(少し強引な気がする点もあるがぜんぜん許容範囲)読んで得した気分になった。

続編の予定がなかったのに、これだけの結末にまで持って行くなんて、第一章の書きはじめから登場人物の背景を練っている作者の想像力の豊かさと、たくましい筆力が感じられて、すごい、と思った。しょうじき期待せずに読んだので、「良い拾いものをした」、という感じ。

読後感は悪い。悪い、というか、ちょっと凹む。ちょっと凹む、いやむしろ、軽いトラウマ。いや、正直なんと表現していいかわからない。ともかく、小さいパックの牛乳はしばらく飲めそうにないッス……。

| 読書日記 | 20:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
赤いセーターの少年の瞳

帰省中のこと。電車に乗っていた。ぼくがいたのはドアのそばで、窓の外を眺めたり、同じく帰省中なのだろう、キャリーバッグを持った人びとの少しウキウキした感じの表情などを見ていた。電車は、一列に席があって向かいあう形ではなく、片側2人席がいくつかあって、ドアの近くは家族用になのか2人席が向き合うようになっていた。

ぼくから顔が見てるほうの席で、窓際に若い男の人、そのとなりに少しぽっちゃりとした赤いセーターを着た少年がいた。(多分ふたりはとくに関係がないと思う)。

若い男の向かいは、茶髪のセミロングの女性がいた。窓のへりに肘をついて眠っているようだった。その女性を見ているとき、黒い蝶が舞って視界に入ってきた。どこから来たのだろうと思っていると、その向かいの若い男の窓に何度もぶつかった。ひらりひらりと浮いていた。

若い男は、少し戸惑いがちだった。窓は開かなかったから。すると、席のあいだの通路に立っていた老夫婦のうちのおじいさんのほうが、窓の上を指さして何か言った。見ると、窓は二重構造で、座席に座る人の高さでは窓は開かないけれど、上の50センチ程度は、左右のレバーを引くと開くようになっているようだった。

若い男は、意図がわからず、窓と老人を交互に見ていた。老人は微笑して、窓際で外へ出ようともがく蝶の羽根をつまんだ。少し乱暴な感じがしてヒヤリとした。でも老人の手の中で柔らかく蝶は羽根を動かしていた。老人は再度、若い男をうながした。

電車内の人間は老人と若い男に注目した。みんな無表情だったけれど、何だか蝶に関心を持つ人びとの視線は温かな雰囲気がした。若い男は上の窓を開けようとして、でも向かいで眠る女性を起こさないようにと、腕を伸ばしてレバーを引いた。

窓が開いて、老人がそこに手を突っ込んで蝶を手のひらから離した。黒い蝶は風に乗ってすぐに見えなくなった。若い男は窓をふたたび閉めて老人に一言二言お礼のような言葉を言っているように見えた。老人は何でもないように微笑んだ。赤いセーターの少年が、老人を尊敬の眼で見ていた。あんなに輝いた目をぼくはついぞ見なかったので、とても嬉しく思った。

それから車内の関心は、それぞれの事柄に戻っただろう。ぼくも実家に帰ってからの行動プランを考えた。友達と会ってバカ話をするとき、「だから何やねん」と言われてもいいので、この車中のとりとめもないできごとを話すのもいいかな、とか思った。


| 偶感 | 21:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
花びんに水をあげましょう
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな 
みずから水やりを怠っておいて

(中略)

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子さんの詩、『自分の感受性くらい』。最初と最後の3行。この詩の鋭さと温かさに、今更になって気付く。

                 @

ケータイをスマートフォン(Androidである)に換えてから、メモ帳機能がなかったので、しばらくは気まぐれに思い浮かんだフレーズも、いつのまにか忘れてしまいながら、日々を過ごしていた。最近になって『簡単メモ』という無料アプリをダウンロードした。通勤途中や、休日にあてもなく散歩しているときなどにメモを取る。

「ある一日の陽が暮れはじめるとき / 遠くに見える高層ビルは / 墓石のように静かにたたずんでいる / 雲が流れる / この景色は私の心の色だ」

「今日、朝の風は希望の匂いがした / ぼくは切なくなった / あのころ思い描いていた未来より / 幾分かましなものだろうかと」

「夜明けまでが私の心を沈ませる / 陽が昇る / 黒い電線が影をつくる / 光すらわずかな影を生むのに / どうして笑っていられるだろう」

……いったい、どういうことなんだろうこのセンチメンタリズムは! そんなふうに自虐的に笑いながら、きっと、青春が終わったのだ、という気持ちに思い至る。

                 @

「花びんに水をあげましょう、心のずっと奥のほう」ザ・ブルーハーツ『情熱の薔薇』。水やりを怠ったのだ。

                 @

大学を卒業して、就職で東京に来て、ああ、ぼくの青春は終わったのだと思っていたけれど、そうではなかった。新しい感情を楽しむ気持ち、美しい詩や絵に感動する心は失われずにぼくのそばにあった。

だけど今、日々の忙しさにかまけて(もしくは酒と惰眠の怠惰な生活によって、)ぼくの中にはそういう気持ちがじょじょに消えていくのを感じる。1小節で陶酔していた音楽も、もはやぼくの心に沁み入ってこない。まるで墓石のように、水を受けても潤うことなく、ただ完全な形になろうとしている。

                 @

と、こんなことを最近になって思う。だれの言葉だったか、子どもは固まらない紙粘土で、大人は固まった紙粘土だと。とてもふさわしい比喩だ。つまらない形で固まっていく自分。それでも何かの形にならなければ不安で仕方がないという葛藤。よもや、誰が責めることができるだろう。

                 @

「子どものころから憧れてたものに / なれなかったんなら / 大人のふりすんな」。今度はザ・ハイロウズ『不死身のエレキマン』。なんて厳しく、残酷な歌詞なのだろうと、耳が痛い気持ち。こんなことを最近ずっと考えている。

                 @


ぼくのスマートフォンのメモ帳には、ほかにも笑える一節があった。

「春が来た / 心はどこにいったのか」


| 偶感 | 20:51 | comments(0) | trackbacks(1) |
Can't Stop / Red Hot Chili Peppers
 Can't Stop / Red Hot Chili Peppers

仕事中に、レッチリの『Can't Stop』のイントロが流れてとめどないことになった。

なぜかは知らない。ぼくは、英語は中学校3年で諦めたくらいの人間だから、原曲の詞がどのようなものなのかわからないけれども、もし、今の自分の心境に近しいものであるとすれば、音楽とはすごい神秘的な力があるのだな、と改めて思うだろう。

そいで、家に帰ってYou Tubeで聴いている。コメントにあるように、はじめはリアル神々の遊びだと思う。フリーとチャドがいかつすぎて笑える。

| - | 02:47 | comments(0) | trackbacks(1) |

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